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歯の神経を守るMTAセメント治療の症例

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歯の根を残す治療(MTAセメント)について

歯の根を残す重要性

MTA セメントという薬剤を用いると、むし歯が歯髄に達しても歯の神経が生きていれば、神経を保存することができる画期的な治療法です。
MTA セメントとは、封鎖性と殺菌性に優れた歯の治療剤で、むし歯の感染部分を除去し、 MTAセメントおいた上から補綴治療を行うことで、神経を残したまま治療することが可能な治療法です。

MTA セメントは人体への親和性も高く、身体にも優しい素材です。しかし保険診療では認められていませんので、自由診療となりますが、神経を抜いた後の治療の費用や歯1本の価値を考えれば効果の高い治療であるため、この治療が適用可能である場合はカウンセリングにてご提案することがあります。その際は一度ご検討下さい。

日本再生歯科医学会誌に掲載された論文では、MTAセメントは歯髄再生の足場としての能力は高いと考えられると結論づけています。

MTAセメント

MTAセメントとは

セメントの成分が水分と反応する際に、水酸化カルシウムが生成され強アルカリ性になります。抗菌性を発揮します。また、第二象牙質の形成を促進し歯髄を残せる可能性が高まります。従来の水酸化カルシウム製剤は硬化しないので封鎖性がないものでした。M T Aセメントは硬化します。さらに膨張するため封鎖性が良好なので細菌感染のリスクが下がります。

 

 

 

MTAセメントのメリット

  • 深い虫歯でも神経を残せる可能性がある。
  • 歯の根の治療に比べて治療回数が短くなります。
    (歯の根の治療の場合、1〜3ヶ月程度かかることもあります)
  • 歯の神経を残すため、歯の神経を取った場合に比べて歯の寿命が長くなります。
  • 自由診療であるため補綴物も二次カリエスの可能性が低いものを選択できます。

 

MTAセメントのデメリット

  • 全ての症状において使用できるわけではない。
  • 歯の生活反応がない場合は抜髄(歯の神経を取る)する必要がある。
  • 自由診療で高価な材料であるためコストがかかる。

 

以下のような場合にはMTAセメントによる治療が可能です。

痛みを感じていない。
充分に止血できる場合。
通常の治療でも残せる可能性がゼロではない状態。

 

MTAセメントと治療の注意点

治療する前に痛みを感じている場合には、歯髄を残せない可能性が高いです。治療終了後に時間が経過してから痛みが出た場合にも歯髄を除去する必要があります。
見た目やレントゲンで判断できないので、歯髄を除去するかどうかは充分に相談して決定します。

MTAセメントによる歯髄保護・断髄にはリスクを伴います。残念なことに、MTAの適応は、肉眼でむし歯の進行を確認するまで判断が出来かねます。万が一むし歯を削った上で「MTA」が出来ないと判断した場合、抜髄の処置が必要となります。

 

MTAセメント治療は神経を守る以外に他にも応用することができます。

治りにくい根の治療を治すことができる

歯の根の治療の根管治療は歯の治療の中でも難しい治療です。
歯の神経を抜いてしまうと根管治療を繰り返し行わなければならないことが多くなります。また、根管治療では、いつまでも痛みが取れない、治療したが膿が止まらないなどのトラブブルも多いのです。

従来、清潔になった歯の根の中は、ガッタパーチャポイントと呼ばれるゴムを詰めて封鎖していましたが、 MTAセメントを使って封鎖をすることで治療の成功率を上げることができます。

ひびの入った歯を接着することができる

・神経がなくなってしまった歯は脆くなり、歯にひびが入りやすくなります。
・小さなひびであれば MTA セメントで埋めることによって、歯のひびを封鎖し、細菌が入りにくい状態にすることができます。

穴の空いた歯を埋めることができる

・歯の治療を何度も繰り返していると歯は薄くなり、穴が空いてしまうことがあります。
・穴が空いた部分から細菌が出入りし、歯茎が腫れたり、膿が出るのが繰り返されます。
・MTAセメントで埋めることによって、細菌の侵入を防ぎ、歯の寿命を延ばすことができます。

歯根嚢胞の手術で根の先から穴を埋めることができる

・歯の根の治療では治らない歯根嚢胞(しこんのうほう)は手術で取る必要があります。その際、歯の根の一部を切断し、切断面に MTA セメントを詰め、根の中に残っているかもしれない細菌が出てこないように封鎖します。
・MTA セメントは生体の適合性や封鎖性も高いため、歯根嚢胞の再発を防ぐことができます。

MTAセメントの治療の流れ

  • STEP
    診査、診断

    診査、診断をし、神経を残せるか、レントゲン等で判断していきます。

  • STEP
    虫歯を除去

    麻酔をし、虫歯を慎重に除去します。

  • STEP
    MTAセメントを埋め込み

    神経近くまで虫歯を除去し、その穴の中にMTAセメントを埋め込みます。

  • STEP
    様子見

    2週間~3か月痛みがでないか様子をみます。

  • STEP
    治療終了

    最終的な歯をいれて治療は終了します。

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